ラウンド2−2
最後に
落語
【陸奥間違い】
三遊亭兼好師匠
この噺
かなり衝撃的なおもしろさ。
ストーリー的には
年末旗本の穴山小左衛門が家に戻ってくる。他の同僚たちと同じく師走の支払のため金策に走り回ったがどうにもならない。困った末にかつての同僚の松納(まつのう)をおもいだす。字が上手なため祐筆に取り立てられた松納は芝内に屋敷を持つ身分となっていたが、義兄弟の盃を交わした仲間からの頼みは嫌とは言わない筈。
しかし、昔の同僚に無心に直接いくのは少し具合が悪い。妻も訪問着がないため武士の体面としては、やっぱり具合が悪い。そこで心配だが田舎から出てきたばかりのゴン助を使いにやろうと決める。「芝内(しばうち)にいる松納陸奥守(まつのう むつのかみ)様へ使者として使いにいってくれ。わしとは兄弟分の間柄、心配する必要はない。ここに手紙を持たせる人ごみにまぎれるうちに場所も名前も忘れてしまう。困ったゴン助はたまたま通りかかった床屋で御隠居に手紙を見せる。学のあるご隠居はこの手紙の宛名が欠字(身分の高い相手に手紙を出す場合、文字の一部を空白にして書く)であると分かり、松○陸奥守を「松納」ではなく「松平」陸奥守と読み下す。
芝のお屋敷を教えられたゴン助は「竹に雀」の印がついた瓦屋根にびっくりしながら門番に使者であると口上を述べる。この家の主は御家人とは天敵である外様大名でも72万石の伊達少将であるとは知らないまま…。使者の間に通されたゴン助は供応を受けて酒に酔って気分は上々。
一方、伊達少将は穴山の名前は全く覚えがないが仲の悪い御家人の使者と聞き興味をもって手紙を読むとこれが借金の申し込み。とんでもない使者を招き入れ恐縮する家来に鷹揚な伊達少将は「江戸詰め大名、数ある中で大名の中の大名と見込んでの無心。聞き届けてやれ。但、伊達家への無心で三十両はあるべくもない。十と百とを間違えたと見える。三千両に直しておけ」。家来は「ははー」。
使者の帰りを待っていた穴山は、手土産を持たされたゴン助が「先方より、正式の使者は後ほどの返事を頂きました」と聞くと嫌な予感がする。土産に包んだ風呂敷を奪って見ると竹に雀の紋所。息を呑む穴山「そちゃ、伊達家に行ったのか…」。御家人として外様の情けは受けられないが、伊達家の親切を無にするのも武士の道ではない。さらに伊達家の使者番はこの金を受け取らなければ腹を切るとする。
悩んだ穴山は知恵者の上司に相談しにゴン助を差し向ける。
はたまた、ゴン助行き先を間違えて、松平伊豆守のに相談。不思議な事件の内容を聞きながら、いざとなれば穴山が腹を切って事を収めようとしているのを見抜いた松平伊豆だが、伊達家が相手となれば簡単には事が進めようもないため「しばし待て、腹は切るな」と釘をさして再び登城。「まだ、いらっしゃればよいが」と将軍家綱の御座所に足を運ぶとそこにいた四代将軍の前に進み出る。自ら動かず周囲の意見を出させた上で「そーせー」のひと声で決するため、この将軍は別名「そーせー」様と呼ばれている。
「伊豆、そちはどう思う」と将軍。「ここは貰っておきましょう。年があければ年賀の挨拶がありますからそこで『伊達少将、先年は余の家来が世話になりました。お礼を言います』とすれば、外様の面目は立つでしょう」「そーせー」の一声。再び城を出てきた伊豆による「もらってよし」の声を聞く。
そして、年始の挨拶に訪れた伊達少将に対して幕府は、このような事件が起きたのは官名の陸奥守が複数あるためであり陸奥守は伊達家のみとする計らいをとる。三千両では引き換えにできない過分の名誉を得た伊達家は宴を催し、事件の張本人であるゴン助も招かれて褒美をもらってニコニコしている。
てな噺でしたが…
ゴン助の味のある事。
2日目も楽しい落語会でした。
byHB
落語
【陸奥間違い】
三遊亭兼好師匠
この噺
かなり衝撃的なおもしろさ。
ストーリー的には
年末旗本の穴山小左衛門が家に戻ってくる。他の同僚たちと同じく師走の支払のため金策に走り回ったがどうにもならない。困った末にかつての同僚の松納(まつのう)をおもいだす。字が上手なため祐筆に取り立てられた松納は芝内に屋敷を持つ身分となっていたが、義兄弟の盃を交わした仲間からの頼みは嫌とは言わない筈。
しかし、昔の同僚に無心に直接いくのは少し具合が悪い。妻も訪問着がないため武士の体面としては、やっぱり具合が悪い。そこで心配だが田舎から出てきたばかりのゴン助を使いにやろうと決める。「芝内(しばうち)にいる松納陸奥守(まつのう むつのかみ)様へ使者として使いにいってくれ。わしとは兄弟分の間柄、心配する必要はない。ここに手紙を持たせる人ごみにまぎれるうちに場所も名前も忘れてしまう。困ったゴン助はたまたま通りかかった床屋で御隠居に手紙を見せる。学のあるご隠居はこの手紙の宛名が欠字(身分の高い相手に手紙を出す場合、文字の一部を空白にして書く)であると分かり、松○陸奥守を「松納」ではなく「松平」陸奥守と読み下す。
芝のお屋敷を教えられたゴン助は「竹に雀」の印がついた瓦屋根にびっくりしながら門番に使者であると口上を述べる。この家の主は御家人とは天敵である外様大名でも72万石の伊達少将であるとは知らないまま…。使者の間に通されたゴン助は供応を受けて酒に酔って気分は上々。
一方、伊達少将は穴山の名前は全く覚えがないが仲の悪い御家人の使者と聞き興味をもって手紙を読むとこれが借金の申し込み。とんでもない使者を招き入れ恐縮する家来に鷹揚な伊達少将は「江戸詰め大名、数ある中で大名の中の大名と見込んでの無心。聞き届けてやれ。但、伊達家への無心で三十両はあるべくもない。十と百とを間違えたと見える。三千両に直しておけ」。家来は「ははー」。
使者の帰りを待っていた穴山は、手土産を持たされたゴン助が「先方より、正式の使者は後ほどの返事を頂きました」と聞くと嫌な予感がする。土産に包んだ風呂敷を奪って見ると竹に雀の紋所。息を呑む穴山「そちゃ、伊達家に行ったのか…」。御家人として外様の情けは受けられないが、伊達家の親切を無にするのも武士の道ではない。さらに伊達家の使者番はこの金を受け取らなければ腹を切るとする。
悩んだ穴山は知恵者の上司に相談しにゴン助を差し向ける。
はたまた、ゴン助行き先を間違えて、松平伊豆守のに相談。不思議な事件の内容を聞きながら、いざとなれば穴山が腹を切って事を収めようとしているのを見抜いた松平伊豆だが、伊達家が相手となれば簡単には事が進めようもないため「しばし待て、腹は切るな」と釘をさして再び登城。「まだ、いらっしゃればよいが」と将軍家綱の御座所に足を運ぶとそこにいた四代将軍の前に進み出る。自ら動かず周囲の意見を出させた上で「そーせー」のひと声で決するため、この将軍は別名「そーせー」様と呼ばれている。
「伊豆、そちはどう思う」と将軍。「ここは貰っておきましょう。年があければ年賀の挨拶がありますからそこで『伊達少将、先年は余の家来が世話になりました。お礼を言います』とすれば、外様の面目は立つでしょう」「そーせー」の一声。再び城を出てきた伊豆による「もらってよし」の声を聞く。
そして、年始の挨拶に訪れた伊達少将に対して幕府は、このような事件が起きたのは官名の陸奥守が複数あるためであり陸奥守は伊達家のみとする計らいをとる。三千両では引き換えにできない過分の名誉を得た伊達家は宴を催し、事件の張本人であるゴン助も招かれて褒美をもらってニコニコしている。
てな噺でしたが…
ゴン助の味のある事。
2日目も楽しい落語会でした。
byHB
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